マルタ・ルイサ・エルナンデス・カデナス『私はユニコーンではない』 メインヴィジュアル © Joanna Montero
「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2025」が10月4日〜26日まで京都市内各所で開催される。
「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」は、国内外の実験的な舞台芸術を創造・発信し、芸術表現と社会を新たな対話のかたちでつなぐことを目指して、2010年より毎年開催されている京都発の国際舞台芸術祭。16年目を迎える今年は、松尾芭蕉の俳句から引いた「松茸や知らぬ木の葉のへばりつく」をキーワードに、多様な人々と舞台芸術の出会いと対話が可能になるフェスティバルとして開催される。
プログラムは、関西地域をアーティストの視点で探究し、未来の創造的な土壌を耕していくためのリサーチプログラム「Kansai Studies」、世界各地の実験的な舞台芸術を紹介する上演プログラム「Shows」、未来への視点を獲得していくためのワークショップやトークが体験できるエクスチェンジプログラム「Super Knowledge for the Future [SKF]」で構成。上演プログラム「Shows」には14演目がラインアップしている。
2025年度の「Kansai Studies」では、リサーチャーにサウンドコンシェルジュのおおしまたくろうを迎える。ノイズ・ミュージックという言葉のもつ矛盾した響きに着目し、人間以外のものにとっての京都を「超洛外」と名づけ、自作の音響装置を用いて超音波や電磁波のフィールドレコーディングを行う。リサーチの様子はnoteにて公開するほか、フェスティバル会期中に、京都芸術センターにて展示が行われる。
2024年のヴェネチア・ビエンナーレ演劇部門で金獅子生涯功労賞を受賞し、知的障害やニューロダイバーシティ(神経多様性)を自認するパフォーマーを中心とする劇団バック・トゥ・バック・シアターが、2年ぶりに新作『いくつもの悪いこと』を上演。「世界の果て」にある倉庫で繰り広げられる労働現場を舞台に、差別や権力構造について鋭く批評する挑発的な作品を披露する。
現代マレーシアを代表する演出家でキュレーター、研究者のマーク・テが、9年ぶりに京都で公演を披露。15世紀のマラッカ王国の戦士「ハン・トゥア」をテーマに、歴史的英雄のイメージが時代とともにどう変容してきたかを探求するドキュメンタリー・パフォーマンス『トゥアの片影』を上演する。
荒木優光は、コンパクトな都市・京都の日常に欠かせない自転車に着目した「サイクリングサウンドシアター」を立ち上げる。動力源となる漕ぎ手によるパフォーマンス、街や人の声、路上からの中継が、混沌としながらも共鳴していくライブを通して、京都のエネルギッシュで実験的なサウンドスケープを体感できる作品『ノー・ボンチ(ファストリサーチスクラッピング)』を上演する。
自分自身と社会の間にある問題をダンスへ結実させてきた倉田翠は、玉石混交の現代の「食自論」とその可笑しみを浮き彫りにしていく新作『病癒えし者の着色された魚への聖なる感謝の歌』を発表。彫刻家の飯沼英樹、俳優の長沼航、喫茶店の店主の植田美里とともに、公演前に食習慣をあえてズラした身体で舞台に立ち、社会や自身が定義する「正しい食」から切り離された身体で、フィクショナルで実験的な試みを展開する。
キューバの詩人で劇作家のマルタ・ルイサ・エルナンデス・カデナスは、LGBTQの象徴としても知られるユニコーンをモチーフに、父権性が強く残るキューバで抑圧されてきた女性や性的マイノリティ、彼らのユートピアを重ねたパフォーマンス『私はユニコーンではない』を披露する。自らの身体と映像、パーソナルな記憶を織り交ぜながら自由を希求す叙情詩を紡ぐ作品となる。
台北アーツフェスティバルのリサーチプログラム「Cruising」から生まれた『クルージング:旅する舌たち』では、日本・台湾・フィリピンを拠点とするJang-Chi、李銘宸(リー・ミンチェン)、ネス・ロケ、温又柔が「食」をテーマに文化やアイデンティティの多層性、混交性を探求。それぞれの母語が飛び交う舞台で、発酵食から互いの言語や翻訳にまつわるエピソード、大切な味の記憶まで様々なトピックが旅していく。
さらに、エクスチェンジプログラム「Super Knowledge for the Future [SKF]」では、実験的な表現が映し出す社会課題をともに考え、議論すべく、様々なプレイベントやトーク、上映会、レクチャーなどを予定している。
各プログラムの前売りチケットは、8月8日12:00から発売開始となる。
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2025
会期:2025年10月4日〜26日
会場:ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場春秋座、THEATRE E9 KYOTO、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、伊藤記念図書館(京都市立芸術大学附属図書館)、京都市左京東部いきいき市民活動センター、 CLUB METRO、ほか