エンタングルド・アザーズ specious upwellings(擬似的な湧昇) 2022-2024 部分
東京・銀座にあるシャネル・ネクサス・ホールでは、人工知能(AI)とエコロジーの融合した展覧会「Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地」が開催される。会期は10月4日〜12月7日。キュレーターはキュラトリアル・コレクティブ「HB.」の共同代表である三宅敦大。
本展は長谷川祐子(キュレーター/美術批評)が、次世代を担う若手キュレーターを育成する「Hasegawa Curation Lab.」とのコラボレーション企画。同シリーズは昨年開催された「Everyday Enchantment 日常の再魔術化」に続いて、2回目の開催となる。
今回、フォーカスされるのはリスボンを拠点に活動するソフィア・クレスポと、彼女がアーティスト・デュオとして活動するエンタングルド・アザーズ。彼女らはいま、アートとテクノロジーが交差する臨界点において、もっとも注目を集めるアーティストのひとりだ。
クレスポは、テクノロジーと有機的生命の共生への関心をもとに制作を行ってきたアーティスト。画像生成AIを通じて生み出されるイメージは、虫の翅(はね)や植物の胞子、深海のクラゲのような既視感のあるかたちでありながら、けっして人間が見たことのないフォルムを持つ。彼女の作品は、AIのメカニズムがどのように有機的な形態を模倣し、進化させることができるかを探求しており、生成されたイメージと人間の創造性の間の共通項を模索している。
エンタングルド・アザーズは、クレスポがノルウェー出身のアーティスト/研究者であるフェイレカン・カークブライド・マコーミックとともに2020年に結成したアーティスト・デュオ。世界のあらゆるものは単独で存在しているのでなく、相互に結びつき、共鳴しあいながら存在しているという「エンタングルメント(もつれ)」概念を軸に、人間と非人間の間にある複雑な相互関係を、データと想像力を駆使して再構築してきた。
本展では、海中2000メートル以深の世界を探る《liquid strata: argomorphs》(2025)、湧昇という地球規模の現象とAIの視覚言語を結びつけた《specious upwellings》(2022〜24)、そして遺伝情報とデジタルデータの構造を重ねた《self-contained》(2023〜24)を含む4シリーズが展示予定。ヴィジュアル、彫像、デジタルインスタレーションなど複数のメディアを横断しながら織りなされる展示空間は、「人間が自然をどう見たいと願っているか」の深層を映し出し、私たちの認識のあり方をも問い直すだろう。