正倉院宝物 黄熟香(蘭奢待)
大阪歴史博物館で6月14日~8月24日に開催される特別展「正倉院 THE SHOW—感じる。いま、ここにある奇跡—」にて、宮内庁正倉院事務所のプロジェクトで再現された「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りが展示される。
正倉院宝物「蘭奢待」は、宝物名を「黄熟香(おうじゅくこう)」という。長さ156.0cm、重さ11.kg。東南アジアに分布するジンチョウゲ科アクイラリア属の木の切り株などに樹脂や精油が沈着してできた香木で、いわゆる「沈香(じんこう)」だ。「沈香」のなかでも、正倉院の蘭奢待はとくに名香とされ、織田信長や足利義満・義政などの時の為政者が、天皇に許可を乞い、その一部を切り取ったことで知られる。
「天下第一の名香」と呼ばれてきたものの、謎に包まれてきたその香り。正倉院事務所では2024年度から、高砂香料工業株式会社(本社:東京都大田区)の協力のもと、正倉院に以前から保管されてきた、蘭奢待の「脱落片(だつらくへん)」を使用し、成分分析などの詳しい調査を実施した。
「脱落片」は、幅およそ1mm、長さも数mm程度のごく小さなものだったが、高砂香料の調香師(パヒューマー)が、香りを嗅ぐため加熱したところ「経験したことのない独特の香り」が立ち上ったという。
成分分析の結果と、香りを嗅いだ調香師の研ぎ澄まされた感覚によって、歴史上初めて、蘭奢待の香りがよみがった。会場には再現した香料の入ったガラス容器が設置され、カバーを取って香りを楽しめる。
織田信長が熱望した香りとはどのようなものだったのか……。時を経て再現されたその香りを体験できるまたとない機会だ。