ティファニー 銀座 Image by: Tiffany & Co.
アジア最大規模のティファニー旗艦店が、7月11日に東京・銀座にオープンした。「In Love with Japan」をコンセプトに、クラフト、アート、日本の伝統文化が融合した複合的な体験を提案する本店は、アートや建築好きにも見逃せない空間になっている。ここではアート視点での見どころをいち早くお届け。
まずは「ティファニー銀座」の建築に注目。ファサードを建築家・青木淳が、店内デザインをインテリアデザイナー、ピーター・マリノが手がけた本店は、銀座の一等地で特別な存在感を放っている。
青木淳がデザインした地上約66mに及ぶガラスのファサードは、創始者の息子ルイス コンフォート ティファニーが手がけた「ウィステリア テーブル ランプ(藤のランプ)」に着想を得てデザインされている。ティファニー ブルーの反射と波打つようなフォルムは、銀座の街並みに柔らかく溶け込みながらも強い存在感を放つ。
ショー ウィンドーはアーティスト藤村喜美子とのコラボレーションで、作品を取り入れたデザイン。都市空間において自然の美しさを体現し、そこにアートとジュエリーが共鳴するウィンドーディスプレイに仕上がった。
地下1階から4階まである「ティファニー 銀座」は、それぞれの階ごとにピーター・マリノが異なる個性を与えている。たとえばティファニーのダイヤモンド商品を展開する地下1階の「GOLD & DIAMOND ICONS」フロアでは、天井が和紙を使った折り紙で装飾されている。日本の伝統文化への敬意もところどころに込められた、マリノの意匠を楽しみたい。
「ティファニー 銀座」のもうひとつの特徴は、50点以上ものアート作品が店内を彩っていること。ラグジュアリーブランドの旗艦店として、これほどアートに注力するのは珍しい。
まずチェックしたいのは1階で人々を出迎える2つのコミッションワーク。
店内に入ると目に飛び込んでくるのが、イタリアの巨匠、ミケランジェロ・ピストレットの作品《color and light》(2024)。鏡面金箔仕上げの支持体に、ティファニーを象徴するブルーで有機的な形態があしらわれている。
もうひとつが、イギリスを代表する現代アーティスト、ダミアン・ハーストの作品《Tiffany Superb》(2024)。こちらもティファニー ブルーを基調に、ハーストお馴染みの蝶が画面を舞っている。
店内にはさらに、ドナルド・ジャッド、ジュリアン・シュナーベル、ジェニー・ホルツァー、サラ・ジー、サンフォート・ビガース、ヴィック・ムニーズといった現代美術史上の巨匠から、現在注目を集める世界的なアーティスト、そしてススム・カミジョウをはじめとする日本人アーティストの作品を展示している。
アメリカの「ミニマル・アート」の先駆者であるドナルド・ジャッドの《無題》(1969)は、コミッション・ワークではないものの、「ティファニー銀座」に合わせた展示に。ジャッドの代表的な立体作品に緑色のアクリル板を用いることでティファニー・ブルーを思わせる色の反射を壁に生み出している。
ほか作家の作品も青とそこからの反射やグラデーションを扱っているし、ジェニー・ホルツァーやサラ・ジー、サンフォート・ビガースの作品も画面の一部にブルーが印象的に使われていることに注目したい。
プレートやカップといったテーブルウェアが一堂に並ぶ4階では、アメリカ人アーティストのジュリアン・シュナーベルによるテーブルセット作品が目を惹く。壁には同じくシュナーベルによる割れた陶器の皿を用いた平面作品がかけられており、ここにしかない特別な空間を生み出している。
期間限定で、アンディ・ウォーホル作品も展示されている。
また現代アートのみならず、ティファニーのアーカイブ ピースから約65点の名品を展示。その半数以上が日本初公開となる。ティファニーの優れた職人技や意匠を大いに堪能したい。
青木がファサードの参照にした、「ウィステリア テーブル ランプ」も店内で見ることができる。ティファニー スタジオが製作した数々のランプのなかで、20世紀のデザインアイコンとして君臨する本作。ルイス コンフォート ティファニーは彼の邸宅で豊かに育った藤(ウィステリア)に魅了されたことにインスピレーションを受けたようだ。
8月8日にはカフェもオープン予定。人気フレンチレストラン「été(エテ)」の庄司夏子シェフが監修を手がける「Blue Box Café by Natsuko Shoji」は日本初出店となる。
ティファニーが1972年に日本に進出してから約半世紀。銀座に誕生したこの新たな旗艦店は、伝統と革新に満ちたティファニーの歴史を伝えるものでありながら、従来のストアの枠を超えた、アートファン、建築ファンにとっても注目のランドマークとなりそうだ。
福島夏子(編集部)
福島夏子(編集部)