公開日:2025年8月26日

「ティファニー 銀座」新旗艦店を“アート視点”で楽しむ4つのポイント。青木淳の建築とダミアン・ハーストらのアート作品約50点が彩る空間

まるでミュージアムのようなアジア最大の旗艦店が銀座に誕生。その見どころをアート&建築視点で紹介

ティファニー 銀座 Image by: Tiffany & Co.

ティファニー、アジア最大規模の旗艦店が銀座に登場

アジア最大規模のティファニー旗艦店が、7月11日に東京・銀座にオープンした。「In Love with Japan」をコンセプトに、クラフト、アート、日本の伝統文化が融合した複合的な体験を提案する本店は、アートや建築好きにも見逃せない空間になっている。ここではアート視点での見どころをいち早くお届け。

1.青木淳とピーター・マリノが手がける、建築とアートが融合した空間

まずは「ティファニー銀座」の建築に注目。ファサードを建築家・青木淳が、店内デザインをインテリアデザイナー、ピーター・マリノが手がけた本店は、銀座の一等地で特別な存在感を放っている。

Image by: Tiffany & Co.

青木淳がデザインした地上約66mに及ぶガラスのファサードは、創始者の息子ルイス コンフォート ティファニーが手がけた「ウィステリア テーブル ランプ(藤のランプ)」に着想を得てデザインされている。ティファニー ブルーの反射と波打つようなフォルムは、銀座の街並みに柔らかく溶け込みながらも強い存在感を放つ。

ショー ウィンドーはアーティスト藤村喜美子とのコラボレーションで、作品を取り入れたデザイン。都市空間において自然の美しさを体現し、そこにアートとジュエリーが共鳴するウィンドーディスプレイに仕上がった。

Image by: Tiffany & Co.

地下1階から4階まである「ティファニー 銀座」は、それぞれの階ごとにピーター・マリノが異なる個性を与えている。たとえばティファニーのダイヤモンド商品を展開する地下1階の「GOLD & DIAMOND ICONS」フロアでは、天井が和紙を使った折り紙で装飾されている。日本の伝統文化への敬意もところどころに込められた、マリノの意匠を楽しみたい。

地下1階 Image by: Tiffany & Co.

2.ダミアン・ハースト、ミケランジェロ・ピストレット:ここだけのコミッションワーク

「ティファニー 銀座」のもうひとつの特徴は、50点以上ものアート作品が店内を彩っていること。ラグジュアリーブランドの旗艦店として、これほどアートに注力するのは珍しい。

1階 Image by: Tiffany & Co.

まずチェックしたいのは1階で人々を出迎える2つのコミッションワーク

店内に入ると目に飛び込んでくるのが、イタリアの巨匠、ミケランジェロ・ピストレットの作品《color and light》(2024)。鏡面金箔仕上げの支持体に、ティファニーを象徴するブルーで有機的な形態があしらわれている。

ミケランジェロ・ピストレット color and light 2024 Image by: Tiffany & Co.

もうひとつが、イギリスを代表する現代アーティスト、ダミアン・ハーストの作品《Tiffany Superb》(2024)。こちらもティファニー ブルーを基調に、ハーストお馴染みの蝶が画面を舞っている。

ダミアン・ハースト Tiffany Superb 2024 Image by: Tiffany & Co.

3.ジャッド、シュナーベル:現代アートの巨匠の作品50点超

店内にはさらに、ドナルド・ジャッド、ジュリアン・シュナーベルジェニー・ホルツァー、サラ・ジー、サンフォート・ビガース、ヴィック・ムニーズといった現代美術史上の巨匠から、現在注目を集める世界的なアーティスト、そしてススム・カミジョウをはじめとする日本人アーティストの作品を展示している。

ススム・カミジョウ The Chill 2021 Image by: Tiffany & Co.

アメリカの「ミニマル・アート」の先駆者であるドナルド・ジャッドの《無題》(1969)は、コミッション・ワークではないものの、「ティファニー銀座」に合わせた展示に。ジャッドの代表的な立体作品に緑色のアクリル板を用いることでティファニー・ブルーを思わせる色の反射を壁に生み出している。

ドナルド・ジャッド 無題 1969 Donald Judd Art © 2025 Judd Foundation / Artists Rights Society (ARS), New York.  Image by: Tiffany & Co.

ほか作家の作品も青とそこからの反射やグラデーションを扱っているし、ジェニー・ホルツァーやサラ・ジー、サンフォート・ビガースの作品も画面の一部にブルーが印象的に使われていることに注目したい。

プレートやカップといったテーブルウェアが一堂に並ぶ4階では、アメリカ人アーティストのジュリアン・シュナーベルによるテーブルセット作品が目を惹く。壁には同じくシュナーベルによる割れた陶器の皿を用いた平面作品がかけられており、ここにしかない特別な空間を生み出している。

4階 左がジュリアン・シュナーベル《Table Set》(2022) Image by: Tiffany & Co. 
ジュリアン・シュナーベル Lake in the Engadin 2025  Image by: Tiffany & Co.

期間限定で、アンディ・ウォーホル作品も展示されている。

2階 Image by: Tiffany & Co.

4.ティファニーの貴重なアーカイブ ピースたち

また現代アートのみならず、ティファニーのアーカイブ ピースから約65点の名品を展示。その半数以上が日本初公開となる。ティファニーの優れた職人技や意匠を大いに堪能したい。

青木がファサードの参照にした、「ウィステリア テーブル ランプ」も店内で見ることができる。ティファニー スタジオが製作した数々のランプのなかで、20世紀のデザインアイコンとして君臨する本作。ルイス コンフォート ティファニーは彼の邸宅で豊かに育った藤(ウィステリア)に魅了されたことにインスピレーションを受けたようだ。

3階 テーブル上にあるのが、青木がファサードのデザインで参考にした息子ルイス・コンフォート・ティファニーによる「藤のランプ」 Image by: Tiffany & Co.
Image by: Tiffany & Co.

8月8日にはカフェもオープン予定。人気フレンチレストラン「été(エテ)」の庄司夏子シェフが監修を手がける「Blue Box Café by Natsuko Shoji」は日本初出店となる。

ティファニーが1972年に日本に進出してから約半世紀。銀座に誕生したこの新たな旗艦店は、伝統と革新に満ちたティファニーの歴史を伝えるものでありながら、従来のストアの枠を超えた、アートファン、建築ファンにとっても注目のランドマークとなりそうだ。

福島夏子(編集部)

福島夏子(編集部)

「Tokyo Art Beat」編集長。『ROCKIN'ON JAPAN』や『美術手帖』編集部を経て、2021年10月より「Tokyo Art Beat」編集部で勤務。2024年5月より現職。