ウフィツィ美術館「Florence and Europe. Arts of the Eighteenth Century at the Uffizi」展より、真ん中は破損された絵画 出典:https://www.uffizi.it/en/events/florence-and-europe
フィレンツェのウフィツィ美術館で、観光客が自撮り撮影中に18世紀の絵画を損傷する事件が発生し、同館のシモーネ・ヴェルデ館長は美術館内での自撮り撮影に制限を設けることを発表した。
破損したのは、イタリアの画家アントン・ドメニコ・ガッビアーニが1695~1700年頃に制作したトスカーナ公フェルディナンド・デ・メディチの肖像画。観光客の男性が絵画中の人物のポーズを真似て自撮りを撮影しようとした際、足を滑らせて後ろ向きに倒れ込み、絵画に衝突した。その結果、トスカーナ公の右足付近に穴が開く損傷が生じた。
ヴェルデ館長は海外メディアの取材に対して「ミームを作ったり、SNS用の自撮りを撮るために美術館を訪れる観光客の問題は深刻である。本館の意義と文化遺産への敬意に適さない行為を防ぐため、非常に厳格な制限を設ける」と述べた。
損傷を与えた観光客は即座に特定され、起訴される予定だという。絵画に生じた裂け目は比較的軽微な損傷と判定されており、修復後に展示が再開される予定である。
今回の事件は、イタリアの美術館で頻発している観光客による作品損傷事例の最新例だ。今年4月にはヴェローナのパラッツォ・マッフェイで、観光客がニコラ・ボラの作品《ファン・ゴッホの椅子》(2006〜07)に座って記念撮影を行い、作品を破損させる事件も発生している。
ウフィツィ美術館がどのような具体的な制限措置を導入するかは現在検討中だが、この取り組みはほかの美術館にとっても重要な参考事例となるだろう。