京都国立近代美術館 公式サイトより https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionarchive/2025/465.html グラフィックデザイン:岡崎真理子(REFLECTA Inc.)
12月より京都国立近代美術館にて企画展「セカイノコトワリ―私たちの時代の美術 #WhereDoWeStand? : Art in Our Time」が開催される。会期は12月20日〜2026年3月8日。
本展は京都国立近代美術館と株式会社メルコグループが共同開催するもの。8月21日に東京の国立新美術館で記者会見が開催され、今回のパートナーシップに至る経緯や展覧会の趣旨が説明された。
京都国立近代美術館の福永治館長は記者会見で、民間企業であるメルコグループと共同開催する運びとなった経緯を説明。メルコグループの牧寛之社長が蒐集した現代作家の作品が同館に寄贈されたことや、2023年の開館60周年事業に協賛としてメルコグループが出資したことをきっかけとしてあげた。
メルコグループは、PC周辺機器メーカーのバッファローを傘下に持ち、社会貢献活動や文化事業を主軸とするエンダウメント・コーポレーション。現代美術においては、ふるさと納税制度を活用した全国の公立美術館への支援や、展覧会運営への助成など、芸術の公共的価値に資する活動を展開している。
牧社長はまたanonymous art projectを2023年1月に設立し、アート作品の収集、展示、そして国公立美術館などへの寄贈を中心に活動している。
芸術振興に意欲を持つ理由として牧社長は、「民間にお金はございます。しかし上場企業が文化事業にお金を出すことが難しくなっている。そのようななか、産業界に一石を投じたいと考えました」と語る。
また本展を共同開催するうえで、「美術館側に2つのリクエストした」と明かし、「ひとつは来場客数はゼロでもいいので、専門家の方が唸るような、学芸員の方の力を全力で投じられるようなものにしていただきたいということ。もうひとつは、地域の美術館に巡回できるような形式にしてほしいということ」と説明。すでに本展は愛知県美術館への巡回が決定しており、そのほかの巡回先についても「絶賛募集中、ぜひお声がけいただきたい」と締め括った。
記者会見に登壇した国立新美術館の逢坂恵理子館長は、近年、文化庁が現代アート振興に力を入れてていると説明。そのような状況のなか、本展の開催直前となる9月3日〜12月8日には国立新美術館で日本の現代アートシーンを紹介する「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」展が開催されることに触れ、「期せずして東京と京都の美術館で、日本の現代美術を過去から検証し、その発展や新しい試み、アーティストの表現をご紹介できるのは大きな喜びです。ふたつの美術館での相乗効果を大いにお楽しみいただきたい」と締め括った。
本展は1990年代から2025年現在までの美術表現を中心に、20名の国内作家による実践を紹介する。本展の企画は牧口千夏(京都国立近代美術館主任研究員)。セノグラフィーを西澤徹夫建築事務所が務める。参加作家は以下のとおり。
出品作家:青山悟、AKI INOMATA、 石原友明、小谷元彦、笠原恵実子、風間サチコ、西條茜、志村信裕、高嶺格、竹村京、田中功起、手塚愛子、原田裕規、藤本由紀夫、古橋悌二、松井智惠、宮島達男、毛利悠子、森村泰昌、やなぎみわ(50音順)
牧口は、「アイデンティティ」「身体」「歴史」「グローバル化社会」といったキーワードを手がかりに、20名の作家を選定したと説明。「戦争やコロナ禍を経て、私たちが共有してる価値観が揺らいでいるという状況。現在地はどこにあるのか、共有できるものはあるのか。アーティストの作品のなかにそのヒントがあるのではないかと考え、今回のタイトルになった」(牧口)と語る。
企業による現代美術振興や、国公立美術館の運営面でも新たなモデルケースとなりそうな本展。今後の展開を注視したい。