草間彌生の展覧会「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」が、7月16日からエスパス ルイ・ヴィトン大阪にて開催される。会期は2026年1月12日まで。
世界でもっとも注目を集める日本人アーティストのひとり、草間彌生。ルイ・ヴィトンとは協働したアイテムを発表するのみならず、店舗そのものもドットで覆ったコラボレーションを展開するなど、これまでも深い結びつきを示してきた。そんなメゾンの持つスペースで、草間によるインスタレーションや絵画などが展示される。
本展は、東京、ミュンヘン、ヴェネチア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンにてフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションを公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環。
草間彌生は1929年に長野県松本市で生まれ、現在は東京を拠点に活動。1957年に単身で渡米し、ニューヨークを拠点に、ボディ・ペインティングやハプニング、男性器を模した「ソフト・スカルプチャー」、網目を画面中に描く「ネット・ペインティング」など代表的なシリーズを展開。前衛美術家としての地位を確立した。1973年に体調を崩したことから、日本に帰国。以降、精神的な不調や病気を抱えながらも、現在に至るまで精力的に制作を続けている。
草間は種苗業を営む実家で、植物に囲まれて幼少期を過ごした。10歳頃に初めての幻覚を体験。草花に覆い尽くされ、やがて自分自身も呑み込まれてしまう── そんなヴィジョンは、すでに絵を描いていた草間に大きな影響を与え、そこから生まれる精神的な葛藤が、今日まで草間の芸術を突き動かし続けている。「自己治療(セルフセラピー)」と作家が呼ぶ制作過程において、ネット・ペインティングをはじめとする強迫的に反復されるモチーフは重要な表現手法だ。
1964年に制作された《無題(足)》はあまり公開されていないシリーズからの一作。ここでは当時の草間にとって重要なモチーフだった身体から、足の図像が繰り返されている。
草間が長期で取り組んでいるシリーズ「毎日愛について祈っている」にも、同型のパターンの反復が見られる。また本シリーズは草間の言葉も印象的。「反戦と平和の女王となって」「世界をみりょうする前衛芸術家 日本はクサマヤヨイに夢中」といった自己言及的な内容に加え、「ルイビィトン」の文字も。これはルイ・ヴィトン側からのオファーがあって制作されたわけではなく、ニューヨーク時代からファッションに大きな関心を持ってきた草間が独自に作品に書き込んだものだという。
展覧会のハイライト《無限の鏡の間―ファルスの原野(または フロアーショー)》(1965/2013)は、草間が手がけた数多くの「無限の鏡の間」の第1作。来場者を果てしなく続く水玉の世界へと誘いう没入体験をもたらす作品だ。「自己消滅」と呼ぶ過程を重要視する草間の作品は、「水玉」や「無限の網」をはじめ、鑑賞者のイマジネーションを「無限」へと向かわせる。
ミクロとマクロが同居した宇宙的広がりを持ち、愛、命、平和といったメッセージに溢れた草間彌生の芸術世界に、ぜひ身体ごと包まれてみてはいかがだろうか。
なお、大阪中之島美術館では、ルイ・ヴィトン「ビジョナリー・ジャーニー」展が9月17日まで開催中。こちらでも草間彌生とメゾンとのコラボレーションが紹介されている。
福島夏子(編集部)
福島夏子(編集部)