横浜美術館 コレクション展 戦後80年特集展示「平和であることへの、控えめななにごとかを」(6月28日〜11月3日)より、宮崎進の展示。大人気の「佐藤雅彦展」と合わせて、コレクション展もおすすめです 撮影:筆者
8月になりました。東京では連日の猛暑が続いていますが、Tokyo Art Beatの読者・ユーザーのみなさんはいかがお過ごしでしょうか。
2025年は、第二次世界大戦の終結から80年という節目の年です。TABではこの夏、「戦後80年」特集をお届けしています。
この特集は初夏から少しずつスタートし、すでに13本の関連記事を公開してきました。戦争をテーマにした展覧会の紹介や、アーティストのインタビューなど、様々な角度から「戦争とアート」の関係を見つめる試みです。
たとえば、ギュウちゃんの愛称で知られるアーティスト・篠原有司男さんのインタビュー。自らの戦争体験について真正面から語り、描いたのは今回が初めてだそうです。そのことに私たち編集部も驚きました。また、空襲の空を「ピンク」で描く表現にも、ギュウちゃんらしさ、アーティストならではの感覚を感じます。防空壕に入るときは「カンパンをムサボるのが楽しみ」だったという子供らしいエピソードからは、戦時下の子供たちの生の輝きを描いた、高畑勲監督の『火垂るの墓』も思い出しました。
今年の夏は全国各地の美術館で「戦争」をテーマにした展覧会が多数開催されています。TABでは、「戦争」を考える展覧会23選をガイドする記事を公開しています。こうした展覧会に関する、レポート記事や学芸員、アーティストの方々によるインタビューなども多数掲載しています。
特集はこれから8月いっぱいをかけて展開していきます。マンガやアニメーション、ファッションに関する記事や、新たなアーティストのインタビューも公開予定です。
いま世界では、ウクライナやパレスチナなど、戦争が続いている国や地域があります。そして日本をはじめとする多くの国で、右傾化や排外主義の空気が高まっています。「戦後80年」という節目も、「平和」という言葉も、「だからこそいま、軍事力強化が必要なのだ」といった、戦いを煽るような結論へと容易に横滑りしていく場面も度々目にします。
いまの視点から、過去の視点から、また「わたし」以外の視点から、戦争に向き合ってみる。それはとても難しいことですが、こうした多様な視点に立とうとするところから、見えてくるものがあるのではないでしょうか。そのための架け橋となってくれるのが、文化や芸術とそれを育む想像力だと思います。Tokyo Art Beatの特集が、読者の皆さんにとってそうした足場のひとつになれるよう、頑張って編集していきたいと思います。
福島夏子(編集部)
福島夏子(編集部)